ChatGPTやClaude、Geminiなどの生成AIを使えば、HTMLやCSS、JavaScript、PHPなどのコードを生成し、Webサイトを作れるようになりました。以前ならWeb制作会社やエンジニアに依頼していたような作業でも、AIに指示を出しながら自分でサイトを構築できます。
AIを活用したWeb制作は非常に便利です。ただし、ここで注意したいのが、「AIでサイトを作れること」と「そのサイトを安全に公開できること」は別の話だということです。
AIが生成したコードがブラウザ上で正常に動いたとしても、セキュリティ上の問題がない、Googleに正しく認識される、SEOに必要な設定ができている、表示速度に問題がない、スマートフォンでも使いやすい、とまでは限りません。
この記事では、AIを使ったWeb制作そのものを否定するのではなく、AIで作ったWebサイトを公開する前に何を確認すべきなのかを、セキュリティとSEOの両面から解説します。
AIでWebサイトを作ること自体は問題ない

まず大前提として、AIを使ってWebサイトを制作すること自体が問題というわけではありません。生成AIを使えば、HTMLやCSSの作成、JavaScriptの実装、ページ構成の作成、文章の下書きなど、多くの作業を効率化できます。
Googleも、生成AIを利用してコンテンツを作成すること自体を問題視しているわけではありません。重要なのは、どのような方法で作ったかではなく、ユーザーにとって有用で品質の高いWebサイトになっているかです。
つまり、「AIを使ったからSEOに不利になる」という考え方は正確ではありません。問題になるのは、AIが生成したコードやコンテンツを十分に確認せず、そのまま公開してしまうことです。
参考:Google 検索セントラル「ウェブサイトで生成 AI によるコンテンツを使用するための Google 検索のガイダンス」
「動くサイト」と「安全なサイト」は違う
AIにコードを生成してもらったとき、最初に確認するのは「ちゃんと表示されるか?」でしょう。ボタンを押したら動く、フォームが表示される、画像が表示される、スマートフォンでも見られる。ここまで確認できると、「完成した」と感じるかもしれません。
しかし、Webサイトには見た目だけでは分からない部分があります。例えば問い合わせフォームでは、入力されたデータを安全に処理できているかは、画面を見ただけでは判断できません。
入力値の検証が不十分だったり、認証・権限の設定に問題があったりすると、Webサイトの脆弱性につながる可能性があります。AIが生成したコードについても、「正常に動作すること」と「安全に実装されていること」は別々に確認する必要があります。
AIが生成したコードにもセキュリティ上の問題が入り得る

生成AIは非常に高度なコードを生成できます。一方で、生成されたコードに脆弱性や不適切な実装が含まれる可能性もあります。生成結果をそのまま採用せず、開発者が内容を確認し、テストやセキュリティ検証を行うことが重要です。
そのため、「AIが作ったコードだから大丈夫」と考えるのではなく、生成されたコードをレビューし、必要に応じて脆弱性検査などを行うことが重要です。
APIキーやパスワードなどの情報がコードに残っていないか
AIに「このAPIを使って機能を追加して」と依頼すると、APIキーをコードに直接記述したサンプルが提示されることがあります。開発段階では動いていても、そのまま公開すると第三者からキーを取得される可能性があります。
確認したい情報は次のようなものです。
- APIキー
- パスワード
- アクセストークン
- データベース接続情報
- 秘密鍵
入力フォームの処理は特に注意する
Webサイトでは、問い合わせフォームやログインフォームなど、ユーザーが情報を入力する場所があります。ここでは「ユーザーから送られてくるデータを信用しない」という考え方が重要です。
入力値の扱いが不適切だと、XSS(クロスサイト・スクリプティング)やSQLインジェクションなどの脆弱性につながる場合があります。AIに「問い合わせフォームを作って」と指示しただけで、十分なセキュリティ対策まで自動的に実装されているとは限りません。
認証や権限設定にも注意する
管理画面や会員ページなどを作る場合は、誰がログインできるのか、誰が何を操作できるのか、ログインしていないユーザーがアクセスできないか、管理者だけが実行できる処理になっているかなどを確認する必要があります。
特にAIを使えば、ログイン機能や管理画面も比較的簡単に作れてしまいます。しかし、「ログイン画面がある」ことと「適切に認証・認可されている」ことは別です。
AIで作ったWebサイトはSEOもチェックが必要

セキュリティだけではありません。AIでWebサイトを作った場合、SEOに必要なHTMLや設定が適切かも確認する必要があります。「ページがGoogleで表示される」ことと、「SEOに必要な状態になっている」ことは別です。
titleが適切に設定されているか
検索結果に表示されるページタイトルは、SEOの基本項目です。AIにページを作らせた場合でも、titleが設定されているか、ページごとに適切なタイトルになっているか、重複していないかなどを確認しましょう。
H1・H2・H3の構造は適切か
AIで文章やHTMLを生成すると、見た目を優先して見出し階層が不自然になるケースがあります。見出しは単に文字を大きくするための装飾ではありません。ページの内容を整理し、ユーザーや検索エンジンがページ構造を理解するための要素です。
canonicalやrobotsの設定を確認する
AIでサイトを作った場合でも、次のようなテクニカルSEOの設定を確認しましょう。
- canonical
- robots.txt
- XML Sitemap
- noindex
- meta description
- OGP
- 構造化データ
- 404ページ
- リダイレクト
特に注意したいのがnoindexです。制作中に検索エンジンへ登録されないよう設定していたnoindexを解除しないまま本番公開すると、せっかく作ったページが検索結果に登録されない可能性があります。
JavaScriptを多用したサイトは特に確認したい
AIを使ったWeb制作では、JavaScriptを多用したサイトを作ることもできます。しかし、「ブラウザで正常に表示される」だけでは不十分です。
GoogleはJavaScriptを利用したページについて、クロール、レンダリング、インデックスという処理を行います。そのため、重要なコンテンツがJavaScriptによる処理に依存している場合は、検索エンジンから実際にどのように認識されているかを確認する必要があります。
例えば、JavaScriptが動かないと本文が表示されない、重要なテキストがレンダリング後のHTMLに存在しない、内部リンクがクロール可能な形になっていない、といった構造になっていないかを確認しましょう。
参考:Google 検索セントラル「JavaScript SEO の基本を理解する」
AIに「SEOに強いサイトを作って」と指示するだけでは不十分
AIに「SEOに強いホームページを作ってください」と指示すること自体は問題ありません。しかし、その指示だけでSEO対策が完了するわけではありません。
SEOには、そのサイト固有の情報が必要だからです。例えば、実際の検索順位、Search Consoleのデータ、検索クエリ、競合サイト、インデックス状況、クロール状況、流入ページ、コンバージョン、ページ速度などです。
AIにコードを書いてもらうことと、実際のWebサイトをSEO分析することは別の作業です。
「AIで作ったサイトだからSEOに弱い」は正しくない
ここは誤解しないようにしましょう。AIを使ってWebサイトを作ったからといって、それだけでGoogleから低く評価されるわけではありません。重要なのは、AIを使ったかどうかではなく、完成したWebサイトが検索エンジンとユーザーにとって適切な状態になっているかです。
例えば、HTMLが適切、titleが適切、構造が明確、ページ速度が良好、モバイル対応、クロール可能、有益なコンテンツ、適切な内部リンクといった状態であれば、AIを使ったこと自体が問題になるわけではありません。
反対に、人間がすべて手作業で作ったサイトでも、noindexの解除忘れ、titleの重複、canonicalの設定ミス、ページ速度の低下、モバイル表示の問題などがあればSEO上の問題になります。
AIでWebサイトを作るなら「生成→検証→公開」の順番にする

AIをWeb制作に活用する場合は、「AIに作らせること」ではなく、「AIが作ったものを検証する工程」を組み込むことが重要です。
おすすめの流れは次のとおりです。
- AIでコードを生成
- 人間によるコードレビュー
- セキュリティチェック
- テクニカルSEOチェック
- 表示・モバイルチェック
- ページ速度チェック
- Search Console確認
- 本番公開
- 公開後も継続的に確認
AIを「制作担当者」と考えるより、「制作を高速化するアシスタント」として利用すると分かりやすいでしょう。
AIで作ったWebサイトの公開前チェックリスト
セキュリティ
- APIキーやパスワードがコードに残っていない
- 認証・権限設定が適切
- 入力値を適切に検証している
- XSS対策がされている
- SQLインジェクション対策がされている
- ファイルアップロードを適切に制限している
- 外部ライブラリに重大な脆弱性がない
- 不要なAPIや管理機能を公開していない
- HTTPSを利用している
- バックアップと復旧方法を確認している
SEO
- titleが適切
- meta descriptionが設定されている
- H1・H2・H3が適切
- canonicalが適切
- robots.txtを確認している
- XML Sitemapを確認している
- noindexが残っていない
- 内部リンクが適切
- 重要なコンテンツが検索エンジンから認識できる
- 構造化データが正しい
- OGPが設定されている
- 404・301などのステータスが適切
表示・パフォーマンス
- スマートフォンで正常に表示される
- PCでも正常に表示される
- フォームが正常に動作する
- 主要ブラウザで確認している
- 画像が適切に最適化されている
- JavaScriptやCSSを過剰に読み込んでいない
- Core Web Vitalsに問題がない
- PageSpeed Insightsで確認している
AIで作ったWebサイトも、公開して終わりではない
AIによってWeb制作は大きく効率化しました。これまで専門的な知識が必要だったコード作成も、AIに相談しながら進められるようになっています。
一方で、「AIが作ったから大丈夫」と考えて、そのまま本番公開するのはおすすめできません。
AIが生成したコードが安全なのか。SEOに必要な設定ができているのか。Googleから正しくクロール・インデックスされるのか。スマートフォンで使いやすいのか。表示速度に問題はないのか。そして、公開後も安全に運用できるのか。これらは、実際のWebサイトを確認して判断する必要があります。
特に企業サイトの場合、ホームページは単なる「会社案内」ではありません。問い合わせや採用、集客、売上につながるWeb上の資産です。だからこそ、AIを使って制作コストや時間を削減できる時代になった今こそ、公開前と公開後のチェックが重要になっています。
AIで作ったホームページ、本当に問題がないか確認してみませんか?
「AIを使ってホームページを作ったけれど、セキュリティは大丈夫?」「SEOに必要な設定ができているか分からない」「見た目は問題ないけれど、Webサイト全体に問題がないか確認したい」そんな場合は、サイト全体の状態を一度確認してみることをおすすめします。
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AIで作ったサイトも、従来の方法で作ったサイトも、重要なのは「今の状態」です。AIで作ったから大丈夫、人が作ったから大丈夫、ではなく、実際のWebサイトを確認して問題がある場所を見つける。それが、安全にWebサイトを運用するための第一歩です。
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